TOEICパート5の「語彙問題」タイプは暗記量がモノを言うことが多々あり、悪戦苦闘する社会人もたくさんいるかと思います。
そんな悩める社会人の皆さまに、「ストーリー暗記」「反復読解」「1問20秒ルール」という3つ勉強方法、「文脈の把握」「消去法の回避」という2つの本番対策、合計5つのキーポイントを紹介します。
とは言え、語彙問題は「覚えている」か「覚えていない」かが問われるタイプですので、中には「捨てる勇気」が必要な問題があることも……。
語彙問題とは?
語彙問題とは、同じ品詞で意味が異なる4つの英単語・熟語が選択肢に並んでおり、短文の空欄に文意に最も合う選択肢を選ぶタイプの問題です。
私事で恐縮ですが、個人的には一番スコアに結び付かないタイプです。
と言うのも、品詞問題や動詞の形のタイプとは異なり、どれだけ英単語を知っているか記憶量が勝負となります。
一方で、そもそも私自身の記憶力が良く無いからか、英単語の意味が脳に定着してくれないときがよくあるのです。
こうして、記憶力の無さをカバーするための工夫が必要となったわけですが、ここではそんな工夫ポイントを書いていきたいと思います。
同じように、記憶力に自信がない人は、特にこれから解説する方法を実践してみてください。
語彙問題の勉強方法
英単語の勉強と言えば、学生の頃は覚えたい英単語をひたすらガリガリ白紙に書いて覚えていた人も多いと思いますが、社会人になった今では、英単語の勉強だけで机に向かう時間を確保できない人が大多数でしょう。
そこで、机に向かわずとも、社会人のスキマ時間を使って語彙問題に対応できる勉強方法をいくつか解説してみたいと思います。
2-1. 丸暗記よりもストーリー暗記
語彙力は、単語帳等での丸暗記は避けて、問題集を通じて実際に覚えたい英単語が使われている問題文(ストーリー)を読むことで身に着けるようにしてください。
理由として、大人の脳は構造的に何かに関連付けたり理屈がはっきりと分かることで、暗記しやすくなると言われています。
はっきり言って、大人の脳みそは「丸暗記」に向いていません。
例えば、”raise”は、単に「引き上げる」と日本語イコールで丸暗記するよりも、こんな感じの例文から覚えるのがコツです。
“My colleague will receive 10 percent pay □□ due to his promotion. ”
これだけ見ると、「同僚が昇進のために、10パーセントの支払いの何かを受ける予定」だな、と「ストーリー」を推察することができます。
その後は、問題集の解説を見ると、”raise”には動詞のほかに名詞「引き上げ」という意味をも持つことが分かり、”pay raise”は「昇給」にあることが分かります。
また、4つの選択肢から解答を選ぶプロセスでは、類義語や引っ掛かりやすい英単語と比較することで、知識が広がります。
これらが、”raise”という英単語の「関連付け」の作業となります。
このように、英単語は丸暗記ではなく、ストーリーから関連付けて覚えることが、社会人にとって重要です。
なお、英単語を覚える上での、NGな勉強方法はコチラにまとめてみましたので、合わせて参考にしてみてください。
2-2. 特に反復練習を意識
あらゆるスキルアップに共通して言えることは反復練習ですが、特に英単語の反復練習に時間を割いてみてください。
理由は、やはりこれも人間の脳のカラクリにあります。
脳には、その前面に位置する「海馬」という記憶を司る部分があるようです。
学生時代、予備校の先生からこの「海馬」に英単語をぶつけるように反復練習をすることと習いましたが、それはこの「海馬」に浸透することで、人間の長期的な記憶として保存されます。
一方で、生活していく上で重要な、より原始的な事柄から優先的に保存されていくようです。
海外で生活していない限り、英単語なんて生活する上で生命線になることはありません。
そこで、この「海馬」に「これは大事なことだぞ」と認識させるための作業が必要となりますが、それが「反復練習」です。
例えば、学生時代に机に向かって何回も同じ英単語を書きまくっていたのも、こういった理由があるからです。
社会人になっても、その方法は変わっても「反復練習」はキーポイントですので、習慣化する価値はあります。
2-3. 厳正な20秒ルール
パート5すべての問題に共通して言えることは、一問あたり20秒で解くことが求められます。
語彙問題も然り、この制限時間に慣れておかなければなりません。
と言うのも、文脈を確認し、選択肢の英単語を思い出し、マークするまでのプロセスには、秒単位の時間管理が必要になります。
特に、思い出しそうで思い出せないような選択肢が並んでいれば、時間もかかることでしょう。
だからこそ、制限時間には慣れておくべきです。
時間を測るおススメの方法は、スマートウォッチ等の秒単位で時間を把握できる腕時計をタイムキーパーとして利用する方法です。
こうすれば問題集を開いた状態で腕時計を確認することができるので、簡単に視線を動かすことができます。
スマホのストップウォッチ機能を使ったとしても、問題集を開いて閉じる時間により、数秒のタイムロスが発生しますし、慌てている時に限ってスマホのタップがうまくいかないものです。
こうして、制限時間に慣れておくことで、素早く選択肢を選べるスキルを身に着けることができます。
本番の意識ポイントとは?
次は、本番で意識すべきポイントをまとめてみました。
勉強の成果を発揮するためにはどんな解き方が効果的なのか、これについて記載してみようと思います。
3-1. 文脈の把握を優先的に
まずは、選択肢の英単語が分かるか分からないかよりも、問題文自体の文脈・文意を正確に把握することに注力すべきです。
一つ目の理由は、先ほどの「丸暗記よりもストーリー暗記」の章と連動する内容ですが、空欄にどんな英単語が入るのか推察するために必要だからです。
特に空欄前後の文脈の繋がりを意識すべきで、「動詞+目的語」や「形容詞+名詞」等の繋がりに集中することで、空欄前後の単語と相性が合う選択肢を探します。
例えば、次の文章を参照してみてください。
“ABC company provided □□ information through its Web site and TV commercials.”
”provided”という動詞に掛かる、”information“の前の形容詞の意味を推察することで、正解の選択肢に近づきます。
文章全体の意味は、「ABC社は、自社のウェブサイトとテレビコマーシャルを通じて、どんな、または、何かの、情報を提供した」という文脈を推察できるのではないでしょうか。
選択肢の中に形容詞が並んでいれば、”accurate(正確な)”や”useful(有意義な、使える)”といった選択肢が解答になるでしょう。
また、TOEIC本番に慣れていないと、分からない英単語が出てくるとパニックになってしまう方もいると思います。
このパニックを未然に防ぐためにも、まずはどんなことを聞かれているのかを冷静に掴むことから解き進めてみてください。
このように、まずは、問題文の文脈・文意を正確に把握する行為が重要となります。
3-2. 消去法は避けるべし
よく覚えていただきたいのが、必ずしも間違いを三つ見つけて消去法で答えを導き出す必要はないのです
分からない単語の中に、何となく意味を知っている単語が選択肢の中に見つかり、それが文脈にしっくりくるときは、即マークした方が無難な時があります。
四つの選択肢、全ての単語の意味を正確に把握していれば理想的ですが、そううまくもいきません。
決して間違いの選択肢を探すことが、試験の目的ではありません。
うっすら覚えていてどうやら正解かもしれない単語がある中、他の選択肢のよく分からない単語の意味を頭から絞り出す時間がもったいないため、解答の選択肢の一点集中を心がけてみてください。
また、正解以外の三つの選択肢は、明らかに問題文の文脈に沿わないことが多いのも特徴です。(ただし、引っ掛け問題はありますが、もうこれは知識量の話ですし、私の場合は諦めます。)
4つが4つすべての選択肢の意味を分かろうと気負いするのは、本番中は精神的にも良くないですし、一つの問題の泥沼にハマることになりかねません。
むしろ、単時間で解答する流れの方を切らさない方が重要です。
こうして、消去法ではなく、「文脈にしっくり」という選択肢に一点集中することを大事にしてみてください。
捨てる勇気も大切
どうしても分かる英単語が選択肢にない場合、即座に捨てて次の問題に進むことも重要なことです。
口酸っぱいようですが、語彙問題は、英単語をどれだけ知っているかが勝敗のカギとなる知識量最優先のタイプです。
すなわち、知っていれば解けて、知らなければ勘です。
そして、勘でどの選択肢のマークシートを塗ろうかと悩むことは、ギャンブルをやっているようなもので、時間の浪費に等しいです。
ただでさえ時間が限られているTOEIC本番では、考える時間は有意義ですが、悩む時間は非常にもったいないのです。
また、レベルの高い問題であればあなた以外の受験者も難しいと感じているでしょう。
相対評価であるTOEICという特徴をメリットとして捉えて「周りが悩んでいるうちに、私は先に進んでしまおう」というぐらいの心持ちで構えましょう。
なお、選択肢のAからDまで(パート2ではCまで)の中で、一番正解の確率が高いものは、私の知る限り公表されていません。
このように、語彙問題でどうしても分からない問題に当たった場合は、即マークシートを塗り絵して、次の問題に移ることも重要な選択です。
まとめ
今回は、パート5の語彙問題に焦点を当てて解説してみました。
事前の勉強では、「ストーリー暗記」「反復読解」「20秒ルール」、本番では「文脈の把握」と「選択肢の消去法を回避」、場合によっては「捨てる勇気」がポイントです。
なお、英単語の暗記方法は、他の記事でもいくつか触れているところもありますので、合わせてチェックしてみてください。
パート5の語彙問題を一つでも多く解けるようになることを祈念して、本記事は〆たいと思います。
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