英語を実践的に利用、しかも海外業務に身を投じようとしている、そんな絶好の機会を最大限に活かして英語力を各段に向上させるにはどうすべきでしょう?
「正統派の英語」で勝負すること、「単語でなく文章」で理解することがカギです。
「習った英語」を「生きた英語」へ
海外業務への従事は、実践的な英語、すなわち生きた英語を身に付けるスタート地点です。
これから海外業務にチャレンジする人にとって、思うほどの英語力が身に付いておらず、準備不足だと感じるかもしれませんが、十分にスキルアップしてからチャレンジするのは、時間がかかり過ぎます。
そこで今回は、机上で習った英語を、海外業務に従事しながら即効性の高い英語に昇華させるためのポイントを紹介します。

「正統派の英語」で勝負
大前提として、記憶にわずかでも残っている、義務教育や入試で培った知識は最大限活用すべきです。
こうした義務教育や学生時代に習った英語を「正統派の英語」と呼んでみました。

事実、義務教育英語の重要性の認識も高く、例えば中学英語に関する参考書も数多く出版されています。
その理由は2つ。
1つ目の理由として、高い精度で情報を発信・受信することができます。
必ずしも正しい文法でなくても伝わることは伝わりますが、何とか単語を繋げた英語だと幼稚さは否めません。例えば、日本語で「は」や「を」等の接続語を抜かしたり、取り違えたりするのは、やはりかなり不自然ですよね。それと同じです。
自分から正確な文法の英語を発信することで、勉強してきた文法構造が自然と身につき始めます。
すると、今度はあなたが実践している手法通りに相手も返答するため、自然に内容を吸収しやすくなります。
また、何も会話だけは無く、英語資料を読む、メールを作文する、ということも立派な海外業務のコミュニケーションの一つです。こうした時に、文法がメチャクチャでは相手に伝わるものも伝わりませんよね。
もちろん初めのうちは言葉が詰まったり言い直したりと、もどかしく感じるかもしれません。しかし、実務を通じて使いこなすことができれば、かなり精度高い英語で相手に自分の考えを伝えることが出来ます。
なお、状況に応じて、ネットの翻訳ツールを駆使すべきですが、英語勉強という軸は崩さないよう工夫しながら利用する必要があります。
こちらの記事には、翻訳ツールを使いつつ英語学習ができる理想的なAI活用を紹介してみました!
2つ目の理由として、帰国子女や元留学生等の海外の環境に触れた経験者でない限り、この「正統派の英語」こそ、皆さんが持っている英語に対する主たる知識でありメインウェポンだからです。
大抵の人が英語のルールに触れるのは、小中高の学校教育や、指導塾・学習塾・進学塾いった学習指導機関のなかです
すなわち、”How are you?” “I’m fine thank you, and you?”から始まり、五つの構文を高校で学ぶということ過程で、英語に触れてきたかと思います。こうした地道で即効性もない「正統派の英語」ですが、正しく吸収すれば、特に高い文法力を身につけることができます。(先生にもよりますが…)
これ以外、大多数の日本人は英語に触れる機会はあまりありません。洋画や洋楽が趣味な人でも、その趣味だけで自然に関係代名詞と関係副詞の違いを取得した、という人はそういないでしょうか。
こうした理由から、まずは触れたことがあるであろう学問としての「正統派の英語」を振り返ってみてください。
単語でなく、文章を意識すべし
特に英語は構文のルール上、単語を置く順番が重要になります。よって、「何とか、単語さえ伝えれば、単語さえ拾えれば」という考えに依存してしまうと、残念ながら英語脳からは遠回りになってしまいます。
英語に慣れていないけど、単語だけでも拾わないと!と真面目な人ほど陥ってしまうものです
少しドシっと構え、焦らずに深呼吸を置いたら、次の2点を意識してみてください。
3-1. その英語、最後まで言い切って!
例え細かいミスはあれど、短文でもいいので、伝えたいことを文章として最後まで言い切りましょう。そして、その最後まで言い切る達成回数を増やしてみてください。

というのも、英語を組み立てる即興性を高められるため、英語力を飛躍的に高めることができます。
文法上の違いから、英語を正しい語順で話すことは日本人にとって難しく感じることが多々あります

決まった台詞がない外人との英語のコミュニケーションでは、言いたいことをいちいち日本語から英語に翻訳しながら会話する余裕はありません。
なので、英語を話しながら次の言葉を探すのは、最初は難航するものです。しかしながら途中で断念すると尻切れトンボな英語になってしまい、「なんかうやむやな感じになってしまった」「思っている感じと違う……」と自信も付きません。
完成していない文章だけでは上達と言えないし、自信が付かないのは当たり前のこと。ですが、続けていけば、英語脳を鍛えることができますし、自信も付きます。
まずは、自分なりでも構いません。英語で話されたら、反射的にYesやOK等のように一言二言程度であれば返せる人は多いと思いますが、この幅を広げて反射的に一文二文を返せるところまでは目指したいところです。
一文をすべて言い切り、相手から何等かのレスポンスが来ると、自信がつき、一員として認められたような感じがして嬉しいものです。
3-2. 聞くときことスタートを意識!
相手の話を聞くときは、最初の単語から聞き逃さないようにし、話の流れを掴むことに集中してみてください。
これは、英語は日本語以上に省略が出来ないことに関係があります。
例えば、日本語の場合、あなたが誰かに「ペンをお借りできますか?」と聞けば、その誰かはあなたに自分のボールペンを貸してくれるでしょう。しかし、英語の場合はというと、”Excuse me, but can I use your pen please?” と話してみて初めて相手に文法的に伝わるようになります。

“Pen, pen!”と何か書く手振りをして相手にせがんでも伝わりますが、英語脳とは別ですよね。
すなわち、英語は「私に」や「あなたの」等を省略しません。英語でコミュニケーションを取る際、こうした日本語特有の省略形から早めに脱却するため、相手が話し出しを聞き漏らさないようにスタートダッシュを切ることで、相手の話の流れを汲むことが出来ます。
しかも、相手に良き聞き手という印象を与えることができるので、効果は二倍です。
なお、英語の省略NGルールの詳細はコチラの記事にも書いてみました。和文と英文の文法の違いや、日本と英語圏のコンテクストの違いまで一つ一つを解説し,なぜ日本人が英語学習を難しく感じやすいのかを解説してみましたので、是非参考にしてみてください!
それに、英語は決まった語順で会話が始まるため、英語の最初の出だしを意識することはさほど難しくありません。
ほとんどの場合、相手は主語である一人称や固有名詞、すなわち主語Sから話を始まり、述語に当たるVすなわち動詞が続きます。
その他、命令形は主語Sが抜けていきなり述語・動詞Vから、疑問形は5W1Hの疑問詞からスタートします。
あなたに英語でコミュニケーションを図ろうとする相手は、こうした構文上の組み合わせがスタート地点となって何かを伝えようとしてくるでしょう。
修飾節が複雑な場合などもあって、なかなか述語動詞が出てこないケースもありますが、まずば、この基本の出だしを必ず聞き取りましょう。
まとめ
いくら学校の英語の成績が良かった人でも、いざコミュニケーションとして伝えたいことを英語で組み立てることは、慣れていなければそう簡単にはいかないものです。
逆に言えば、英語の成績が芳しくなかった人でも、「習った英語を今一度思い返してみて」「英文として言い切る回数を増やし」「頭から相手の英語を聞き取る」ことを意識すれば、英語を組み立てることが出来ます。
これからの海外業務の中で、少しでもこのステップを実践できることを祈願しまして、記事を〆たいと思います。
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