英語の学び直し初心者の皆様へ。
いきなりですが、なぜ英語は難しいのでしょうか?
日本語以外の言語に抵抗がある?
勉強の時間を確保できない?
今回の記事ではなぜ日本人は英語を難しく感じるのかポイントをご紹介します。
敵に勝つにはまず敵を知ることから。
これらのポイントを意識して、英語力をレベルアップしましょう!
省略NGルール
日本語は言わなくとも伝わる、対して英語は言わないと伝わらないという違いが難しさを生んでいると言えます。
例えば、「愛しているぞ。」
この言葉は、私が妻に寝る前に欠かさず言っている言葉です。
これによって、私の妻は、私に愛されていることを、文法的に「暗黙の了解」として理解することが出来ます。(少なくともそう信じたい。)
しかし、もし私と妻が日本語圏では無く英語圏の住民だったら、こんな言葉になります。
“I love you.”
英語の場合、面と向かって言っているのに、”I”と”you”をはっきりと言わないと文法的には伝わりません。
ちなみに、仮に”Love”だけ言っても、単に「愛!」と名詞を言っているのか、
何らかの人や物を「愛せ!」と命令しているのか、その意図は伝わりません。
このように、潜在的なルールとして日本語と英語は「言わなくても分かるでしょ」と「言わなければ分からないでしょ」とで二極化されています。
こうした言語の違いは、文化の違いをも生んでいると言っていいでしょう。国と国の文化の違いを考える上で、「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」という言葉があります。
端的に言うと、ハイコンテクスト文化とは「言わなくても分かるでしょ」な文化であるのに対して、ローコンテクスト文化とは「言い切らないと分からないでしょ」な文化を指します。
なお、ハイとローという言葉を使っていますが、文化と文化の間で優劣があるというわけではありません。
重要なのは、日本は他の追随を許さないトップレベルのウルトラハイコンテクスト文化の国であるという点です。
すなわち、私達日本人の日常会話の中には、「言わなくても分かるでしょ」という「暗黙の了解」が多く潜んでいるのです。
「愛してるぞ」以外にも、「書くものある?」や「今日は飲むぞ!」等々、例を挙げればキリがありません。
一方、英語圏の国やヨーロッパ諸国はローコンテクスト文化寄りであることが多いようです。
英語は日本語ほど「暗黙の了解」が豊富でないことから、単語を省略せずに、具体的に文章として言い切らなければ意味が伝わりません。
ということで、英語初心者にとって一つのハードルとなるのが、言葉の「省略NGルール」です。
ガチガチ語順ルール
英語の文章は、日本語以上に語順に依存しています。
先ほどの、「愛してるぞ」を例に取って、主語と述語を入れると、次のような文章になります。
・私は、あなたを、愛しています
・あなたを、私は、愛しています。
・愛しています、私は、あなたを。
・私は、愛しています、あなたを。
これらの文章は、文法的にも正解ですし、意味も伝わります。
上の二つしか使わないよ、と思いきや日本語では強調したい単語を「あなた」なのか「私」なのか「愛している」なのか、によって自由に配置を変えることが出来ます。要するに倒置法というもの。
これだけ一つの文面にレパートリーがあるのは、「は」「を」等の接続語が単語同士の接着剤となって、何が主語で述語で目的語か、すぐに分かる仕組みになっているからです。
対して英語では、基本的に”I love you”の語順で無ければ、文章として成立しません。
これは、英語が日本語でいう「は」や「を」といった接続語を活用する言語ではなく、語順で主語・動詞(述語)・目的語を設定する仕組みになっているからです。
言い換えれば、正確な語順で無い英語は、日本語の「は」「を」の接続語を間違えることと同じミスとなってしまうということですね。
ということで、日本語にはないこの「ガチガチ語順ルール」が、英語に慣れるまでの行く手を阻みます。
ただし、語順ルール自体はあまり難しくなく、昔の偉い言語学者の人たちは、この語順を5つの構文としてルール化してくれました。
すなわち、学校で習った
「S・V構文」
「S・V・O構文」
「S・V・C構文」
「S・V・O1・O2構文」
「S・V・O・C構文」
の5つのルールを言います。
平仮名とアルファベットの違い
平仮名は「音節文字」であるのに対して、アルファベットは「音素文字」という違いが、ハードルを生んでいます。
聞き慣れない言葉で私自身も勉強中の領域なのですが、筆者なりの解釈を書いてみました。
例えば「りんご」は、46個の平仮名それぞれに対応する音が、46通りに決まっていて、これに濁音・半濁音が加わり、「り」と「ん」と「ご」を順番に発音すれば難なく相手に伝わります。
一方で、26個のアルファベットで構成される英単語は、母音と子音に分かれ、アルファベット同士の組み合わせで発音が変わってきます。
”APPLE”を「エイピーピーエルイー」と、アルファベットをそのまま読んでも意味を成すことはありません。
“APPLE”の場合は、母音”A”単体としての音、子音の”P”が二つ続くときの音、子音と母音が組み合わさった”LE”の音を理解し、ネイティブスピードに補正することで「エァポゥ」(に近い音)になります。
一方、アルファベットの”A”の音素で言うと”AUGUST”や”DAUGHTER”のように、”A”と”U”が組み合わさると「オゥ」という全く別の音になってしまいます。
これが、音素文字であるアルファベットの特徴です。
こうしてアルファベットを音素文字として取り扱って音から覚えることは、なかなか学校の授業では重要視されません。
代わりに、音から単語を記憶するよりも、漢字を覚えるように英単語を暗記していたはずです。
漢字で「林」と「檎」を組み合わせるように、英語ではAとP2つとLとEが続いて「りんご」と覚えていましたね。
ということで、この「音節文字である平仮名」と「音素文字であるアルファベット」という違いが、日本人にとって英語をややこしくさせています。
では、この違いをどう克服していく必要があるのでしょうか?
一つとして、音読・シャドーイングといった発声を伴う英語勉強が効果的となりますし、仮に発声できずとも、口パクでネイティブの口と舌の動きをマネするだけでも、色々な英語の音の仕組みを理解することが出来ます。
なお、このような練習方法は読解力アップにも大いに貢献してくれます。コチラの記事からどうぞ!
その他の違いとは
さて、ここからはハードルまでとは言わないものの、代表的な違いを2つ紹介します。
4-1.発音という最大の差
日本語と英語の発音の違いは、最も大きな違いの一つです。
これはアルファベットが音素文字であることと大きく関係していて、英語を発音するのに日本語以上に母音と子音の関係が強く影響しますし、アルファベットの組み合わせで多様な音の変化が生まれます。
また、口と舌の動きが日本語と大きく異なっており、”APPLE”、”AUGUST”、”DAUGHTER”を平仮名通りに「アップル」「オーガスト」「ドーター」と発音しても、残念ながら英語圏で暮らすネイティブには伝わらないでしょう。
さらに、英単語にはそれぞれアクセントというものがあって、例えば”APPLE”ではAを強く発音するルールがあります。
同じように、英語の文章を音読する際には抑揚・イントネーションを意識する必要があり、文章の中で強く発音する単語もあれば、全く発音しない単語も出てきます。
英語発音の解説は、コチラで書いておきました。
4-2.ニュアンスで覚える英単語達
英語は、日本語が基になって開発されたわけではありません。
ギリシャ文字が英語のルーツと言われていますが、ここで言いたいのは、英単語の中には必ずしも適切に和訳されていない単語も多々あるということです。
例えば、”ALIEN”という単語の意味を考えてみます。
大ヒットした映画シリーズのタイトルにもなっているこの単語は、日本語だと「宇宙人」と訳されることが多いです。
なお、この映画シリーズの副題は、”RESURRECION”や”COVENANT”等の興味深い単語を使っているので、単語の意味を知るのにも要チェックです。
一方、海外の空港の入国ゲート等にも”ALIEN”の文字を見ることがあり、日本人はそこの列に案内されますが、空港スタッフは私たちを宇宙人扱いしているわけでは無く、海外から来た人である扱いをしています。
すなわち、”ALIEN”という単語は「宇宙人」という意味と対になる単語ではなく、「他所から来た者」というニュアンスの単語なのです。
英語の意味を考えるときは、こういったニュアンスが重要になることが良くあり、ニュアンスを把握することで英語脳が鍛えられるようになります。
英語と日本語の関係はこういった例ばかりで、この類の違いを逆手に取って、英語試験ではひっかけ問題が出題されるわけです。
まとめ
何か行動するにしろ、まず敵のことを知ることは重要です。
正直、これらの違い以外にも皆さんにとって壁になることもたくさんあるかと思います。
例えば、上に挙げたハードルや違い以外にも追い打ちをかけるように、近年のTOEICの問題は難しくなっている傾向にあると言われています。
もちろん加重平均なので、難しければそれだけ受験者の平均的な素点は下がります。
これは裏を返せば、TOEIC慣れしている受験者にとって、むしろ「得意な問題のレパートリーが少ない初心者が平均素点を下げてくれるから、かえって好都合」な状況になっていると言っていいかもしれません。
また、そもそも環境的に、限られた時間でしか勉強できない社会人の皆さんも大勢いると思います。
それでも、英語を勉強しようと思ったのは、皆さんに何等かの動機があるはずです。
同じ社会人英語学習者の私にとっても、その動機を大切にしていきたいと思いますし、そんな社会人の方が増えてくることを願って、本記事を〆たいと思います。
独り言
ちなみに、私は、日本語っぽく聞こえる「空耳」が好きです。
所謂、タモリ倶楽部でよくやっていたあれです。YouTube等でこの類の動画をよく見てゲラゲラ笑い、お陰で妻によく呆れられます。
真面目な分野に無理やり繋げるようですが、私が思うにこの「空耳」って世界で一番日本が進んでいるコメディだと思うんです。
聞こえた外国語をひらがなやカタカナで書き落とし、それっぽい日本語の文章に強制的に支離滅裂ながら意味を通しているわけです。
これは、日本語が46音の平仮名をそのまま発音してそれを繋げて文章化することが音節文字だから成立するお笑いです。
こういうゆるい笑いって、私は日本人としてすごく好きなんですよね。
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