英語を実践的に利用、しかも海外業務に身を投じようとしている、そんな絶好の機会を最大限に活かして英語力を各段に向上させるにはどうすべきでしょう?
今回は、臆せず貪欲な姿勢をポイントに考えてみましょう。
積極的な姿勢で実践力アップ
海外業務への従事は、実践的な英語、すなわち生きた英語を身に付ける最高のチャンスです。
英語を使いこなせる独学方法を頑張って紹介してはいるのですが、やはり実践が一番なのは素直に認めざるを得ません……
否応なしに、実際に英語を使う環境に身を置いて仕事をすることは、もう英語学習のOJTです。
こうした環境をフルに活用するには、自分から会話に飛び込むアグレッシブさを大切にしたいものです。
姿勢その1:聞かぬは一生の恥
相手の言っていることが分からない……という時は、その人に質問することが基本です。
日常的な日本語でのやり取りでも、確認することはごく自然とやっていることです。
しかし英語となると、相手の言うことを理解できなく手も、なぜか分かったフリが得意になる人はたくさんいます。
この分かったフリが一番禁物です。
2-1. 質問は貪欲に
「分からない」という状況において「相手を利用してでも質問してみよう」か「こっ恥ずかしいし、面倒くさいからスルー」という考えを天秤に諮った際、英語脳を鍛えたければ間違えなく前者に傾けるべきです。
英語知識を身に着けることができるし、英語で質問すること自体が英語への慣れを加速させる、といった二重のメリットがあります。
以前、英会話研修を受けた時の先生は、分からない単語はもちろん、何となくは分かってはいるけど説明できるほどは理解していない単語に対しても質問させる指導スタイルを取っていました。
最初のころ、私達受講生は(少なくとも私は)、他の研修生の手前少し恥ずかしい、どこまで聞けばいいのだろう、と引っ込み思案でしたが、その度にバシバシと注意されました。
段々と質問することに慣れ、研修中盤になると念のため意味を押さえておこうと、研修生是認が積極的に質問していきました。
ここで得られた教訓は、単純なこと、「聞くことに貪欲になろう」です。
昨今、OJTを通じて多種多様な業務知識を吸収しようとする社会人にとって、なんと英語OJTになった途端、引っ込み思案になるとはお恥ずかしい話になってしまいます。
2-2. どの国でも「質問」はごく自然なこと
事実、外人と仕事をしていて、相手の英語が分かりづらいことなんてザラにありますし、それに対して聞き返すことも珍しいことではありません。
「分からない」→「聞く」のループを繰り返すことによって、実務上での英語に慣れていくことが重要だと思います。
例えば、私は、マレーシア人やバングラデシュ人の技術者と仕事をする機会を頂きました。
マレーシアの国際会議にて、日本人の学者がパネルディスカッションのプレゼンターとして檀上に上がり、マレーシア人の有識者とディベートしている様子を聴講したことがあります。
この日本人の方と言ったらまた、日本人の中でも特に分かりやすく英語を話す方で、9割以上の内容は理解できました。
一方、マレーシア側はというと、とにかく早口かつTOEIC英語からはかけ離れた発音で、まさにマシンガントークの中から単語を拾いながらでしか聞き取れません。
マレーシア人が話す英語の発音はマレー語の影響を強く受けており、私個人的には超苦手分野です。
このマレーシア仕込みの英語を「マングリッシュ」と呼ばれることがよくあり、ネット上でもその特徴を解説されている方をよく見かけます。
東南アジアを中心に在住していた上司に、度々、通訳してもらいました。
しかし、その次の年、バングラデシュ人と仕事をするようになると、今度はその上司が「バングラデシュの英語が分からない」と聞き直す局面を多々見てきました。
バングラデシュ人が話す英語の発音はベンガル語の影響を強く受けているようです。
強弱が浅く、時に巻き舌で英語を話すのが特徴です。
こうして見ると、世界のコミュニケーションは、あらゆる国の言語のクセがそのまま英語に反映されて、成り立っています。
これでは、東南アジア仕込みの上司も、全く触れたことがないバングラデシュの英語に苦戦することは当たり前です。
地域ごとに特徴があるために、英語にある程度慣れている人にとっても「分からない」「聞き取れない」はごく当たり前なことです。
こうした中、特に、一対一で海外の方と仕事の話を対応する時、極力通訳は付けず、その代わりに文字通り耳を傾けて相手の言うことに集中し、分からないことがあれば”Can you tell me again, please?”と喰い下がり、時に”So, your question is~”と確認しながら話すことをお勧めします。
すると、善意あるビジネスパートナーは、よりかみ砕いて分かりやすく英語で話してくれます。
こうした「分からない」→「聞く」のループを循環させることで、段々とその国の英語を理解していくことが出来るのです。
自分の英語力をアップさせるため、相手が感じる煩わしさにも気を付ける必要はありますが、チャンスだと思って少しは貪欲に喰い下がることも重要です。
姿勢その2: 時には強めに主張を
自分の英語に自信が十分に付いていないと、どうしても引っ込み思案になりがちですが、そこを乗り越えないといけません。
海外の方との議論の際、こちらが簡単に意見を引っ込めたりすると、何もこちらに意見がないと捉えて、相手の主張はさらに強くなりペースを乗っ取られることも……。
ここで一例、とある国際イベントに外国人への対応者として参加した時、ある海外先輩から助言を受けたことです。
その先輩は、国内大手の航空会社から出向された方で、海外のクレーマー処理も担当された経験を持つベテランの国際人でした。
「日本人はすぐに謝りがち。明らかなミスや悪意があって、迷惑をかけてしまった時は別だけど、どうしようも無い状況で、あなたが責任を被ろうと”sorry”と言うのは絶対にNGです。」という内容です。
そんなこと言ったって、「実際に迷惑を被っている外人に対して何て言えば良いのか?相手はカンカンだった時にどうしましょう?」と聞きました。
すると、「じゃ、こう言いましょう。「私も現状を改善しようとしているので、ご理解を頂きたい」と主張してください。」とアドバイスをいただきました。
そこで、私が暗に教えてもらった教訓が一つ、「課題解決に向かって前向きな姿勢を言葉で強く主張」することです。
「簡単には非を譲らず、あなたの状況を理解して行動している私の立場を理解してくれ」、という少し図々し気味の主張が、重要な局面もあることを学びました。
以来、海外業務をしている中、私は多少言葉に詰まっても、時には身振り手振りを付けて強めに意見を主張するようにしています。
こうして、皆さんならではの立場で強めな主張を意識してみるのも、実践的な英語を身に着ける手段の一つとして捉えてみてはいかがでしょうか?
姿勢その3: 英語なんて最終的には気合と度胸!~まとめ~
「やっぱり英語を使いこなせるか心配」「日本語以外の言葉なんて、ハードルが高い…」なんて根強いアレルギーを持っている人も多々いるかと思います。
持論中の持論ですが、こうしたアレルギーを克服するにはもう気合と度胸です。
「ちゃんと私の英語が伝わっている!」と確信を持てるまで、間違いを恐れずに正々堂々と自信を持ってしゃべくることが重要だと思います。
大丈夫です、「ニホンゴハナセマース、スシ、テンプラ!」と大きな声で宣言する外国の方(現にこういう方は多いです)の日本語の理解度よりも、あなたの英語の理解度の方が上ということが多々あります。
また、英語が苦手であれば、海外の方も汲み取って、レベルを合わせて会話してくれることもよくあります。
苦手なことを逆手に取り、詐欺まがいなことをしてくる輩もいますが、英語が上達するまではそういう人がいるような場所に行かないことが鉄則です。
さらには、世界の人口の5人に4人は英語圏ではありません。
英語を母語とせず英語を得意としない人への差別は、今や御法度になっています。
海外出張の際、私が英語で何か持論を伝えようとしていることを察知し、辛抱強く待ってくれた外国の方は何人もいました。
せっかくの海外業務の場ですので、この機会をチャンスとして捉え、皆さんが実践的な英語を吸収できることを祈願して、本記事を〆たいと思います。
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